2014年3月12日(水)、「BUMP OF CHICKEN」と「初音ミク」のコラボレーションが発表されました。楽曲『ray』でのコラボレーションとなっており、PVでは共演を果たしております。このPVでは、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社(以降、クリプトン)が開発した新技術を用い、両者の“リアルタイム共演”、撮影・収録までを実現いたしました。また、今回の撮影にあたり、自社にて新たな「初音ミク」の3DCGモデルを制作・採用しております。
新たな世界を切り拓く「BUMP OF CHICKEN×初音ミク」
楽曲『ray』は、同日にリリースされる「BUMP OF CHICKEN」のニューアルバム『RAY』の推し曲で、2013年のツアー最終公演で初披露された際には、大きな話題を呼びました。この楽曲には、様々なアプローチが取り入れられており、“楽曲の持つ新たな方向性をより斬新に、より前衛的に、アプローチするためにはどのような方法が考えられるのか”というさらなる模索が、「初音ミク」とのコラボレーションへと結びつきました。
今回公開されるPVでは、映像だけのコラボレーションではなく、「BUMP OF CHICKEN」のボーカルの藤原氏と「初音ミク」のデュエットもお楽しみいただけます。「BUMP OF CHICKEN」としては初のコラボレーション楽曲&PVということもあり、注目度の高い、斬新な試みとなっております。
クリプトン開発、「初音ミク」との“リアルタイム共演”を実現させる新技術
このPVでは、両者がお互いに新たな世界を切り拓くため、革新的な方法で“共演”を果たしております。それは、CG合成ではなく「BUMP OF CHICKEN」と「初音ミク」が同じ空間に立ち、撮影に挑むという、世界初の“リアルタイムでの共演”です。
この撮影のために、クリプトンでは“14(イチヨン)モデル“という新たな3DCGモデルの「初音ミク」を制作。また、撮影・収録も、スクリーン素材、センサー制御、トラッキング設計、同期システム、リアルタイムアニメーション技術など、自社が開発した革新的な仕組みを用いて行いました。クリプトン完全監修の元、新たな音楽の世界が生み出されました。
この新技術の一端は、以下のメイキングビデオでご覧いただけます。
クリエイターが支えるコラボレーションの世界
今回のコラボレーションには、多くのクリエイターが携わっております。プロデュースにはボーカロイドオペラ「THE END」を手掛けたA4Aの東市氏が、デュエット音源の「初音ミク」の歌声制作にはlivetune氏が名を連ねております。livetune氏の手により、『ray』の繊細で綿密なボーカルラインを見事に歌いこなす「初音ミク」の歌声は必聴です。また、“リアルタイム共演”を果たした、“14モデル”の「初音ミク」の振付け・モーションキャプチャーは、イーハトーヴ交響曲やゆずなどの振付けで知られるYUMIKO氏が担当。斬新なダンスが映像を彩ります。
「ray」で見つかった、「初音ミク」の新たな表現世界
今回のコラボレーションにあたり、「BUMP OF CHICKEN」はこのようにコメントを寄せています。
『監督が持ってきて下さったMusicVideoの絵コンテを見て、素晴らしいと思い、「面白そうだ」という気持ちが爆発した感じでした。 初音ミクに対しては、歌を再現するということにおいて、とても忠実で誠実であり、その事にすごく共感できるところがありました。 是非、聴いて欲しいな、と思います。』
一見、唐突で遠距離に感じられる、「BUMP OF CHICKEN」と「初音ミク」の組み合わせは、お互いへのリスペクトと楽曲が導き出した、必然に満ち溢れたコラボレーションにほかなりません。今回の共演により、「初音ミク」も新たな表現世界を見つけることができました。両者の“リアルタイム共演”による新たな音楽世界を、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと考えております。
クリプトンでは、今後もこのような新しい音楽表現の世界を切り拓くため、革新的な技術開発・研究を続けて参ります。
「初音ミク」とは http://piapro.net/
札幌に本社を置くクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が、企画・開発したパソコン用の“歌うソフトウェア”です。そのパッケージには、青緑色の髪をしたツインテールの少女が描かれております。ソフトウェアの発表後、歌声はもちろんそのパッケージキャラクターも注目の的となり、一躍インターネットで人気のバーチャル・シンガーとなりました。
注目度の上昇に伴い、キャラクター利用に関する独自ライセンス(*1)を制定。これにより非営利目的での合法的な二次創作が許諾となり、インターネット上の動画投稿サイトを中心にたくさんのユーザーたちが「初音ミク」を使用した楽曲や映像作品を制作・公開するようになりました。発表された作品は別のクリエイター同士の創作意欲を刺激し、新たな作品が生まれる創作の連鎖(ピアプロダクション)を生み出しております。
その活躍の場はインターネット上に留まらず、六本木ヒルズ・森美術館で開催された「LOVE展」では“アートとしての初音ミク”の展示が実現。また、作曲家・冨田勲氏が手がけた「イーハトーヴ交響曲」のコンサートでは生オーケストラとの共演を果たし、話題となりました。
これらの活躍は主要なネットメディアに大きく取り上げられ、様々な賞を受賞。更に赤十字社や文化庁、経済産業省、内閣府などでも日本を代表するデジタルコンテンツの一つとして認められ、海外のフェスティバルなどでも紹介される存在に。現在では、CD・DVDのリリース、フィギュア化、書籍・ゲームへの登場、CG技術を駆使したライブコンサートの実施など、音楽制作ソフトウェアの枠をはるかに超えた多方面での活躍を見せております。
(*1)キャラクター利用に関する独自ライセンス……弊社では、クリエイターが創った作品を自ら投稿しコラボレーションできる場として2007年12月にコンテンツ投稿サイト「ピアプロ」(piapro.jp)を開設いたしました。また多くのクリエイターが『初音ミク』の原画を非営利目的において、合法的に二次創作できるよう「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)」を規定して利用許諾しております。